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子どもの新型コロナワクチン接種について|新川崎ふたばクリニック小児科・皮膚科|

子どもの新型コロナワクチン接種について

子どもの新型コロナワクチン接種について

 

現在、日本では12歳以上の小児はファイザー・ビオンテック社およびモデルナ社のmRNAワクチンの接種が可能です。どちらのワクチンも海外での臨床試験が行われ、上の世代(16-25歳)と比較して、安全性は変わらず、抗体価の獲得はむしろ高く、高い予防効果が期待できます。

一方、新型コロナウイルス感染症は、健康な子どもでは大人と比べて重症化しにくいことが分かっており、ワクチンを接種するべきか悩まれる方も少なくないと思います。

 

現在流行しているデルタ変異ウイルスは感染力が従来のウイルスよりも強くなっており、子どもの感染者数が急増しています。学校(部活動)や塾でのクラスターの報告も多数みられ、デルタ変異ウイルス流行前よりも子どもが新型コロナウイルスに感染するリスクは高まっています。

子どもが新型コロナウイルスに罹患した場合、成人と比べて重症はしにくいものの、重症化しないわけではありません。日本国内では20歳未満の新型コロナウイルス感染者で亡くなった方はいませんが(2021年8月現在)、米国では0-17歳の新型コロナウイルス感染者の0.014%(約1万人に1人)が亡くなっています。1歳未満の児、基礎疾患(肥満、慢性肺疾患、遺伝性疾患、神経疾患、先天性心疾患、糖尿病、免疫不全など)のある児では特に注意が必要です。基礎疾患のない児でも稀に重症化することはあり、後遺症に悩まされるともあります。また、子ども特有の稀な合併症として、新型コロナウイルス感染から数週間後にみられる多系統炎症性症候群(MIS-C)という重症の病態がみられることがあります。

 

軽症で済んだ場合でも社会生活においては以下のような懸念があります。

・最低10日間は隔離が必要となり、多くの場合濃厚接触者として家族も隔離が必要になる。

・隔離により予定の変更やキャンセルが生じる(受験や就職活動などの問題)。

・周囲へ感染を広げるリスクが生じる(デルタ変異ウイルスでは子どもから親など同居する家族へ感染が広がる事例が増えています)。

 

一方、ワクチンの副反応は成人よりもやや高い頻度で報告されています。多くの副反応は軽症であり、接種後7日以内には軽快します。

 

<ファイザー社の12-15歳の副反応>

1回目 2回目
接種部位の疼痛 86% 79%
倦怠感 60% 66%
頭痛 55% 65%
筋肉痛 24% 32%
発熱 10% 20%

 

稀ですが重篤な副反応として、急性心筋炎と急性心膜炎の発症が報告されています。急性心筋炎は若年男性(30歳以下)の2回目接種後に多く、接種当日から5日目までの発症が大半を占めます。ワクチン接種後の心筋炎の大半は軽症であり、短期間の治療で改善しています。一方、若年者では新型コロナウイルス感染そのものでも心筋炎を発症することがあり、その発症頻度はワクチンを接種した場合よりもかなり高いことが分かっています。

100万人あたりの心筋炎発症者数(人)

*ワクチン接種後 (12-17歳

女性

すべて 1回目 2回目

4.2          1.1       9.1

男性

すべて 1回目 2回目

32,4        9.8     66.7

*新型コロナ感染後

女性   男性

213          450

 

こうしたことから、新型コロナウイルス感染のリスクが高い流行状況では、ワクチン接種により重症化予防を図るメリットがあると考えられます。

 

ワクチン接種後2~3日、できれば1週間程度、発熱等の副反応を疑う症状に気をつけて、はげしい運動を控えて過ごすことが望ましいです。接種後に胸痛、息切れ、動悸などが認められた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

 

以上のワクチンのメリットとデメリットを子ども自身と保護者が十分に理解した上で接種を検討されて下さい。

 

 

 

新川崎ふたばクリニック

日本感染症学会認定 感染症専門医

日本小児科学会認定 小児科専門医   志田 洋子

 

 

 

 

 

院長 志田 洋子
記事監修
院長 志田 洋子

東京女子医科大学東医療センター(現・東京女子医科大学附属足立医療センター) 小児科、松戸市立病院(現・松戸総合医療センター) 新生児科、戸田中央総合病院 小児科、東京女子医科大学東医療センター 小児科

日本小児科学会 小児科専門医、日本小児科学会 認定小児科指導医、感染症学会認定 感染症専門医、日本小児感染症学会 小児感染症認定医、ICD制度協議会 Infection Control doctor

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