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子どもの事故と対策 -子どもを事故から守ろう!- 第1回「異物誤飲①」|新川崎ふたばクリニック小児科・皮膚科|

子どもの事故と対策 -子どもを事故から守ろう!- 第1回「異物誤飲①」

子どもの年齢別死因調査において、2000年代まで40年余りの間、「不慮の事故」が1歳以降の子どもの死因第1位であったことをご存知でしょうか。幸いなことに、近年は子どもの「事故予防」に社会的関心が高まってきており、不慮の事故による死亡者数は年々減少傾向にあります。ただし、乳幼児では交通事故を除く不慮の事故の発生場所は家庭内がほとんどであることから、日常生活でおこりうる事故とその対策を知っておくことはとても大切なことです。そこで、こちらでは何度かに分けて子どもの事故と対策について紹介していきたいと思います。

第1回目の今回は、多くの親御さんが「ヒヤリ・ハット」した経験があると思われる異物誤飲について、中でもとくに要注意なものです。

1.ボタン電池

子どもがボタン電池を誤飲した場合、消化管(食道や胃)に接触した電池から電流が流れると、電気分解により電池の外側にアルカリ性の液体が作られ、それが化学火傷を引き起こし、短時間で消化管(食道や胃)の壁に損傷がおこります。そのため早く取り出さないと消化管に潰瘍ができたり、穴が開くなどのおそれがあります。鶏胸肉の上にボタン電池を置いて行った実験では、約20分後には鶏胸肉にくぼみができるほどの化学火傷が確認されています。なかでもリチウム電池は放電電圧が高く(3V)、直径が約2㎝と大きいため食道に停滞しやすく、特に危険です。

もしも子どもがボタン電池を飲み込んでしまった場合は、重症になるおそれがあるのですぐに医療機関を受診して下さい。出来るだけ早く摘出することが大事ですので、救急車を要請してもよいと思います。大きなボタン電池(ほとんどが危険なリチウム電池)を誤飲した場合は、食道に停滞する可能性が高いためとくに緊急性があります。ボタン電池を飲み込んだかどうかはっきりしない場合でもX線写真を撮ればボタン電池の有無が確認できますので受診して下さい。また、ボタン電池を鼻や耳などに入れてしまった場合もすぐに取り出す必要があります。

消費者庁の調査によると、ボタン電池を誤飲した子どもの年齢は1歳が圧倒的に多く、次いで0歳、2歳です。誤飲された電池は保管・放置されていたものが最も多いですが、6割はおもちゃ、キッチンタイマー、時計、LEDライト、体温計などの日常の生活用品から取り出して誤飲しています。ボタン電池の誤飲を防ぐためには日頃から「どの製品がボタン電池を使っているか」「簡単に電池を取り出せる構造でないか」「電池蓋が壊れたりしていないか」をチェックして、簡単に取り出せるものは子どもの手の届かないところに置き、必要に応じて電池の蓋をテープで止めるなどの対策が必要です。未使用の電池は子どもの手の届かないところで保管し、使用済みの電池はできるだけ速やかに処分して下さい(捨てるまでは子どもの手の届かないところに置いて下さい)。最近はハサミがないと開けられないパッケージのボタン電池も販売されています。年長の兄弟が電池を出しっぱなしにすることもあるので、下の子が飲み込んでしまう可能性があることを教えることも大切です。また、電池交換の際の一瞬の隙に子どもがボタン電池を誤飲したという事故報告もあるので、ボタン電池の交換は子どもがいるときなど子どもの目に触れないところ・時間でするのがよいと思います。すべての事故予防において言えることですが、「子どもから目を離さない」ことは不可能です。子供から目は離れるものであることを認識し事故予防していくことが大切と考えます。

 

<参考文献>

子どもの不慮の事故の発生傾向~厚生労働省「人口動態調査」より~

(令和3年度 子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議)

消費者庁 家の中の事故に気を付けましょう!

 

新川崎ふたばクリニック 小児科専門医  志田 洋子

 

 

院長 志田 洋子
記事監修
院長 志田 洋子

東京女子医科大学東医療センター(現・東京女子医科大学附属足立医療センター) 小児科、松戸市立病院(現・松戸総合医療センター) 新生児科、戸田中央総合病院 小児科、東京女子医科大学東医療センター 小児科

日本小児科学会 小児科専門医、日本小児科学会 認定小児科指導医、感染症学会認定 感染症専門医、日本小児感染症学会 小児感染症認定医、ICD制度協議会 Infection Control doctor

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